知的財産権を活用した工賃向上について

兵庫県庁での記者会見 2014年2月

 2月28日(金)、データ入力の仕事をいただいている「NPO法人NETIS新技術活用協働機構」の記者会見に同席させていただきました。

 ところは兵庫県庁です。

 なぜ、この記者会見がひらかれたのかというと…。

 

 まず、「NPO法人NETIS新技術活用協働機構」について説明します。

 この法人の名前についている「NETIS」というのは「新技術情報提供システム」(New Technology Information System)の略で、国土交通省が平成10年より進めている公共工事等で活用する民間の新技術推進の施策です。

 数多くあるNETISの推奨技術の中で、山の斜面の崩落防止工事に使用する杭打ち工法「無水掘削孔法」も新技術のひとつです。従来の工法より34%も費用が縮減されるそうです。

 

 この技術を開発した技術者は特許権、商品登録権などの知的財産権をNPO法人に無償で譲渡し、これを使ってなんとか障害者の工賃向上につながるように託しました。

 

 今、私たちが取り組んでいるデータ入力は、情報開示された書類から全国の斜面工事の概要を電子化する作業です。

 

 そのデータは行政がなかなか手の届かない末端の作業で、この資料をもって「無水掘削工法」の技術提案をしていき、新たに「無水掘削工法」が採用されれば特許料がNPO法人に支払われます。

 そして、この特許料が障害者の次の仕事の糧となるのです。

 

 この新しい取り組みに西宮の「NPO法人阪神パソコンネット」も参加しており、兵庫県での新たな工賃向上の取り組みとして記者会見にいたったというわけです。

 

 就労支援センターあんずにおけるデータ入力の責任者である高岡くんも作業を請負う側としてよばれ、記者会見にのぞみました。

 神戸新聞、産経新聞、毎日新聞の3社から取材を受け、とくに毎日新聞の記者は会見時間を終えてからも詳しく話を聞いていました。

 

 今回はマスコミに対する情報提供が目的だったので、記事にはならないようですが、実績がでれば関心も高まるとおもいます。 

 

 

 

今年度の方針 4月

 枚方市内の事業所の平均工賃は12,460円です。高いところは、42,739円、低いところは、3,476円となっており、その事業所によって大きな開きがあります。

 就労支援センターあんずの工賃も決して高いとはいえません。利用者の方は送迎サービスや食費の補助などで費用負担はありませんが、手元に残る工賃は低額のままです。

 今年度はこの工賃の取組をもう少し多面的に取り組んでいこうと思っています。いろいろなことを試していこうと思っているのです。

 昨年度は石鹸やアクセサリーなど新しい分野のものを取り込んでいきました。今年はこれまでやってきたことの練度をあげていきたいと考えています。もちろん、おもしろそうなことがあれば、どんどんチャレンジしていきたいですが、基本はこれまでやってきたことを全員で取り組んでいくつもりです。

 工賃を上げるには、一日あたりの生産量を上げるしかありません。一日の作業量を上げるのは簡単なことではありません。急ぎすぎて不良品がでてしまうとなんにもならないからです。それでも以前比べればずいぶんと要領がよくなってきて、製品を作る速度も格段に上がってきています。この勢いはまだまだ伸びていくでしょう。そこに、請負の業者数を増やして、多品種の作業を平行しておこなっていき、一日の生産数を増やしていきます。

 アクセサリーや石けん作りも全体の動きに加えていくつもりです。アクセサリーはもうひと工夫、ふた工夫が必要です。多少時間はかかるでしょうが、作業とリンクして多くの作品を作っていき、なんとかして出店できるまでにしていきたいとおもいます。

 

 そして最後に、知的財産権を活用した工賃向上を今年度はぜひ具体化しようと考えています。これまで、非営利法人NETIS新技術活用協働機構の永見さんや作家の早川和宏さん、弁護士の工藤さんなどから無水掘工法の歴史や今後の展望について詳しく聞いてきました。また、他の障がい者事業所を交えて時間して7時間をこえる活発な意見交換をおこない、私たちの向かう場所をはっきりと確認することができました。

 これらの積み重ねの結果を今年度は具体的な形にしていくつもりです。

 この知的財産権を活用した工賃活用が具体化すればまったく新しい展望が開かれていくでしょう。

 

 

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災害のない社会を目指して
私たち障がい者事業がなぜ、知的財産権を活用した工賃向上という手法を選択したのか、まとめてみました。
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工賃向上チャレンジ事業 5月

 エル・チャレンジ(大阪知的障害者雇用促進建物サービス事業協同組合)

 は大阪府内の障害者支援事業所に対し就労支援をおこなうとともに、工賃向上の支援もおこなっている団体です。

 

 そのエル・チャレンジが工賃向上チャレンジ事業という工賃向上に特化した事業の募集をしていました。独自の発想で工賃向上をしようという事業所に対してエル・チャレンジがコンサルタントとともに計画を立て人材を派遣するというものです。

 

 私たちはこの工賃向上チャレンジ事業にエントリーしました。

 工賃向上の方法は知的財産権の活用です。

 私たちだけでは微力なため、ぜひエル・チャレンジさんの力を借りようと思ったのです

 

 エントリーをした翌月、エル・チャレンジの会議室で大学の先生や商工会議所の方のまえでどのような方法で工賃をあげるのかプレゼンテーションをおこないました。

 知的財産権を活用した工賃向上というこれまで馴染みのない方法を説明するのは苦労しました。緊張しましたがなんとか終えることができました。

 翌日、支援決定の通知があり、ひとまずはほっとしました。

 

 その後、担当者とコンサルタントがきてあらためて事業の内容を詳細に聴きとっていきました。コンサルタントは支援計画をたて、人材が派遣される予定です。

 

 大変だとは思いますが、ふんばっていきたいとおもいます。

 

 

 

 

7月

 大阪府工賃向上計画支援事業(一般社団法人エル・チャレンジ福祉機構振興機構)の工賃向上チャレンジ事業がはじまり1ヶ月がたちました。

 担当者の方とコンサルタント(課題解決のため助言をおこなうひと)のかたが来られ、今回の「知的財産権を活用した工賃向上」について詳しくきいてから計画書を作成してくれました。

 その計画書にもとづいて、行動していくわけです。

 府内の斜面工事の設計を担当する設計事務所に電話をかけ、斜面工事工法の比較検討をおねがいします。しかし、一度納品しているものなのでなかなか話をきいてくれません。工法の比較検討は国土交通省の設計仕様書のなかに書かれている契約事項であり、府県レベルでもほぼこの仕様書の文言を条例に盛り込んでいます。だから、比較検討をしない場合は条例違反になってしまうのです。

 この比較検討の話だけも多くの説明が必要なのですが、その比較検討の結果、無水掘工法が採用された場合、特許料が障害のある方の工賃にになる、という過程を説明するのにまた膨大な時間がかかります。

 説明する方も大変なのですが、聞いて理解する方も大変です。担当者の方は粘り強く聞いてくれたと感謝します。

 ただ、担当者の方が現場の設計士に話をしてということを考えるとこのやり方はなかなか難しいと思わざるをえませんでした。

 今後は、また違ったアプローチをしてこうと思っています。